Power Automate Desktop を使ってOutlookメールを自動で送る①

みなさんこんにちは。このブログでは、Power Automate Desktopを使った自動化の事例をご紹介いたします。

 

今日は、Power Automate Desktop(以降PAD)とOutlookを使って、あらかじめエクセルに用意しているメール原稿を自動で送信する。というプログラムを用意します。

たとえば、10人の従業員の方に、それぞれ異なった文面のメールを自動で送る。というプログラムを作ってみましょう。

この記事は初めてPADを使う方でもトレースできるように、ひとつひとつの作業を解説しています。

1.エクセルデータを用意する。

まず、送信したい10人の方の氏名、メールアドレス、メールタイトル、メール本文をエクセルで作成します。下記のようなシートを用意しました。このエクセルファイルをPCのデスクトップに保存します。この時、リストのシートをアクティブの状態にしてエクセルを保存してください。エクセルのファイル名はmailsend.xlsxとしました。

このような作業、結構多いですよね。今でも、手作業でPCにインストールされているメーラをつかって必死にエクセルの内容をコピペして送っている方がたくさんいらっしゃいます。これ時間の無駄。

リーンでいうところの従業員の創造性を使わないムダ。

 

2.PADでコードを書く

では、実際にPADを使ってコードを書いていきます。

PADを起動する

まずはPADを起動します。起動すると下のような画面になります。

左上の「+新しいフロー」をクリックすると、新しいクローが作成されます。

作成するフローの名称を入力し、作成をクリックしてください。今回はメール送信というフロー名にしてみます。

下のようなフロー画面が出てきます。

 

これがPADの開発画面です。左側にあるアクションリストなかから適切なアクションをドラッグして、真ん中のエリアにドロップします。PADはここに並べられアクションを上から下に順に実行します。

エクセルファイルを読み込む

まず最初に、先ほど作成したエクセルファイルの内容を読み込みます。PADのフロー画面の左側のアクションの欄の>Excelをクリックしてください

と、直下に出てくる詳細をクリックしてください。

これだけのエクセル操作をPADで実行することができます。また、エクセルファイルのマクロを実行することもできるので、PAD上でエクセルのほとんどの操作を実行することができます。

うまく活用すれば、エクセルのマクロを定時に実行することも可能です。こちらはまた別の記事で紹介します。リストの名から「Excelの起動」をドラッグして、中央のキャンバスにドロップします。

すると自動的に詳細を入力する画面が開きます。

一番上のExcelの起動は「空のドキュメントを開く」となっているので、「次のドキュメントを開く」を選んでください。するとドキュメントパスの項目が出てくるので、右側のアイコンをクリックするとファイルを選択する画面が出ますのでここで選び、下の保存をクリックします。

データの入力範囲を調べる

エクセルのシートにデータが入力されている範囲を確認し、その範囲のデータをPADに読み込みます。作成したデータは列はE列まで、5列。行はヘッダを含めて11行です。この情報をPADで読み取ります。この時は、左のアクションの「Excelワークシートから最初の空の列や行を取得」をドラッグして中央のキャンバスにドロップします。

自動的に詳細を入力する画面が開きます。

 

ここでExcelインスタンスの入力が必要ですが、先に作成したインスタンスが自動的に入ります。また、変数が二つ生成されます。FirstFreeColummは最初の空の行、FirstFreeColummは最初の空の列です。この後の処理で、この二つの変数を使って処理していきます。

実際にPADでこの二つの変数を取得できるかやってみましょう。

その前に、左の画面のアクションから

をドラッグして中央のキャンバスにドロップしてください。自動的に開く詳細画面はなにもせず「保存」をクリック。

 

データを保存

実行する前に必ず保存します。

画面中央上部の

アイコンリストからフロッピー(古)のアイコンをクリックすると保存されます。

 

プログラムの実行

では、さっそく実行してみましょう。アイコンリストの再生の三角形をクリックします。

画面を見てみましょう。

実行すると、一行ずつプログラムが実行されます。問題なく終了すると画面右側に実行結果が表示されます。確認してみましょう。

 

FirstFreeColumm(最初の空の列)は6,FirstFreeColumm(最初の空の行)は12

なので、データの最後の列は5,行は11ということになります。

ただしく、エクセルの情報を読み込んでいることがわかります。

 

データを読み込む

では、作成したエクセルのデータを読み込んでみましょう。

アクションのExcelワークシートから読み取る。をドラッグして中央のキャンバスにドロップします。この時、Excelを閉じるの行の前にドロップしてください。詳細画面が出ます。

 

 

取得の項目を「セル範囲の値」に

先頭列を1

先頭行を2(1行目はヘッダなので無視)

最終列を%FirstFreeColumn-1%

最終行を%FirstFreeRow-1%

 

最後の二つは、最初に読み込まれている値に―1を追加してください。

保存して、再度実行します。

終了しましたら、画面右のフロー変数を見ましょう

ExcelDataのインスタンスに5列、10行のデータが生成されています。ExcelDataをクリックすると収納されたデータを見ることができます。

「閉じる」をクリックすると閉じることができます。

 

ExcelDataに格納したデータを取り出してみる。

インデックスを使う

今回のレッスンでは5列10行のデータを生成しています。このデータを使って、この後はメールを送信するのですが、そのためにはExcelDataのすべての列行からデータを取り出してやる必要があります。

PADのアクションからメッセージボックス-メッセージを表示をドラッグして、中央のキャンバスにドロップしてください。

表示するメッセージの項目で{X}をクリックして、変数ExcelDataを選びます。そうすると

%ExcelData%という表示が出ます。これは%の間が変数であるということを意味します。取り出したいデータは二次元配列に収納されているのでExcelDataと右端の%に配列を表すインデックスを入れます。例えば0列0行は[0][0]とします。保存をクリックすると、以下のようになります。

ではこの状態で一度保存して、プログラムを実行してみましょう。以下のようなメッセージボックスが表示されれば成功です。

インデックスは、%ExcelData[行][列]%ですので、覚えてください。0行目の項目を順番に表示するのは、

%ExcelData[0][0]%

%ExcelData[0][1]%

%ExcelData[0][2]%

%ExcelData[0][3]%

%ExcelData[0][4]%

とします。PADはこのようになります。

For each,Loop文で処理を繰り返す

5列くらいのデータを処理するのであれば、上のようなプログラムでもいいですが、もっと多くの列を処理しないといけないとしたら大変です。こんな時はLOOP、FOR EACHを使ってみましょうインデックスを使って同じ処理を繰り返してくれるとても便利な変数です。

 

まずは、For eachを使って、各行のデータを取り出してみましょう。ここでもメッセージボックスを使います。アクションのループからFor eachをドラッグしてキャンバスにドロップすると次のように表示が現れます。

ここで、反復処理を行う値はExcelDataを選びます。保存先は自動でCurrentitemが生成されます。保存をクリックします。

次に各列の内容を表示してみましょう。アクションからメッセージボックス-メッセージを表示をドラッグして、中央のキャンバスにドロップしてください。

表示するメッセージを%CurrentItem%として、保存してください。

 

プログラムを保存して実行してみましょう。

1行目は

10行目は

と表示されれば正解です。では次のステップへ。

これでは、一つの処理で1行のデータが全部まとまった形で出てきてしまうので、これでは、すべての情報をひとつずつ取り出すことができないので、For each の中に、繰り返し処理を入れます。これをネストといいます。今回はLoopを入れてみます。まずLoopを作ってみましょう。アクションのループからLoopをドラッグしてキャンバスにドロップすると次のように表示が現れます。

開始値は0とします。終了はFirstFreeColumn-2とします。FirstFreeColumnは最初の空の行なので、最後の行は―1するのですが、さらにインデックスが0から始まるので―2とします。ここは注意してください。増分は1とします。保存をクリックします。次にアクションからメッセージボックス-メッセージを表示をドラッグして、中央のキャンバスにドロップしてください。

表示するメッセージを%CurrentItem[LoopIndex]%としてください。

そうすると以下のようなLoopが出来上がります。

 

そして次はこれを、先ほどのFor Loopの中に入れます。やりかたはLoopの行をSHIFTキーを押しながらENDをクリックすると、3行の色が暗くなります。そしてこれをドラッグして、For Loopの中にドロップすると、以下のようになります。

プログラムを保存し、実行します。

すると、1行の中で、各列のデータがすべて順番に保存できるかと思います。

 

これで、エクセルに保存した自動送信用のデータをすべて取り出せるようになりました。

まずは前編①はここまでです。次回後編では、いよいよOutlookを使いメールを送信します。

次回をお楽しみに。

 

今回作ったプログラム

 

最後までお読み下さり、ありがとうございます。

 

3.コード差し上げます。

実際に作ってみたがうまくいかないという方がいらっしゃいましたら。今回のレッスンのコードを無料で差し上げます。下のボタンからお問合せ下さい。オフラインでのレッスンも承りますのでお気軽に。

 

 

 

 

成功するDX導入シナリオとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)というキーワードを目にしない日はありません。

それほどDXは日本でも認知されています。

 

ですが、すべての企業でスムーズにDXが導入されているでしょうか?

なかなかそうはいかないのが現状ではないでしようか?

○大手のサービスを導入したのになかなか使いこなせない。

○他社の成功事例を聞いてどうにゅうしたが、当社では失敗した。

失敗した事例を調べると、共通した原因があることがわかりました。

それは、DX導入シナリオをしっかり構築した上で、導入していなかったから。

ということです。

 

DX導入3ステップ

成功確率が高くなるシナリオは、DX導入3ステップと呼ばれるものです。詳しくご説明します。

 

第1ステップ  改善ステップ

まずは、目の前にある、小さな問題。これをスモールスタートで解決します。エクセルVBAだったり、無料のDXサービスだったりします。これらにとりかかって、部門内の小さな問題を潰します。「思ったより簡単にうまく行ったなあ」というように小さな成功体験を積み重ねます。その事例をつうじて改善のPDCAの回し方を学びます。そして、その成果を横展開して、DX活動の輪を広げていきます。

 

第2ステップ 改革ステップ

第1ステップではスモールスタートでPDCAサイクルを回し、小さな成功体験を積み重ね、「おもったより簡単にできたなあ」という小さな感動経験を身に着けました。そして次にもう一段ハードルの高い改善に取り組みます。部門間にまたがる課題や問題に対して、第1ステップでは無料、低コストであったサービスより1段ランクアップした仕様、価格のDXシステムを導入することを検討します。

しかし、システム全てを刷新してしまうと、改修規模、コストが膨らんでしまうので
システム全体の中で部分的にフォーカスを絞ります。その際、部分的に導入するシステムが他のシステムに連携する際のデータの受け渡し方法をよく確認することが必要です。例えば、受注管理システム、製造管理システム、出荷管理システムといったシステムが連携していて、どれか一つを刷新するような場合は、他の二つのシステムとデータでつなぐときに問題がないかということを確認するということです。

こうなっていくと、自部門だけでなく関連部門を巻き込んだ改善になります。その中で、部門間の連携といった一つ高いハードルの課題を解決することになります。これは第1ステップでいうところのスモールスタートではなく、ミドルスタートになります。各部門から担当者を選任し、連携しながら問題を解決していくということになり、
これまでの業務の仕方を見直すことになるという「改革フェーズ」に入っていきます。

これまで、当社は数多くの企業のDX改革ステップを支援してまいりましたが、このフェーズでのキーワードは「フリクションマネジメント」です。第一ステップでは小さな改善なのでストーリーは小さなグループで完結していましたが、このステップではストーリーにかかわる部門、人が増えてくるので、部門最適から見た場合、メリットにならない仕事をしなければならないとなったときに必ずフリクションが生じます。

こういったときは、経営のバックアップが必要になります。経営陣は改革の先頭に立ち、メンバーを支援する必要があります。また、フリクションが発生した部門から見ても「WIN-WIN」の関係が得られるようなシナリオの構築を指示しなければなりません。

このフリクションを越えることが第2ステップ成功のためのポイントです。

DMAIC ステップ5 Control(管理)

いよいよDMAICの最終ステップ Improve(管理)です。

上の4ステップで様々なデータを観測し、改善のための道筋がついたかと思います。

ですが、ここで一安心しては、オペレーションしているうちに後戻りしてしまう可能性があります。ですので、最終ステップでは以下の事柄を実行します。

 

・プロセス安定化

・能力の継続的検討

・管理のシステム化

 

プロセス安定化

Xバーチャートなどを活用して、改良したプロセスをモニタリングします。数値で定義した指標が想定した範囲内におさまっているのか?逸脱している場合、どうするのかを決めておきます。

 

能力の継続的検討

改良したシステムが後戻りしないように管理します。一番大切なデータとしては工程能力指数をモニタリングします。また、人の作業手順を作業手順書で規定します。また、プロセスに設備がある場合、設備の管理標準を定めるなどの方法も有効です。

 

管理のシステム化

歯止めの最終として、管理をシステム化します。先に作成したバリューストリームマップは手順を定めたマップですが、これに管理という見方でマップを作成し、管理していきます。

 

これでDMAICのプロジェクトが完結しました。

DMAICの5ステップについて解説しました。実際は、膨大な作業量になりますが、このブログではおおまかな流れをご紹介しました。

 

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DMAIC:ステップ4 Improve(改良)

DMAICのステップ4Improve(改良)のご説明をします。ここでは4段階の作業を行います。

・ステップ3までの成果物のレビュー

・改良された業務フローの設計

・新しい業務フローへの移行計画立案書を作成する

・移行計画を実施する

 

では、順を追ってご説明します。

 

ステップ3までの成果物のレビュー

これまでに作成したアウトプットをレビューします。定義段階で作成した問題定義書を確認します。プロジェクト定義と目標を再確認しましょう。

ここで、バリュープロセスマップを再確認し、マップの中でどこにムダがあるのかを再確認し、そのムダを省くということが上記の問題定義書に書かれていることと論理意的に齟齬がないかを確認します。

次に測定段階で定義したCTQ(Critical to Customer)と最も重要な品質特性を一定の間隔で計測し、その達成度合いを確認します。

次に分析段階で作成したなぜなぜ分析の結果から課題の根本原因を確認します。そして次に統計的な手法であきらかになったその原因のばらつきを小さくするための方法と計測方法を立案します。ここでようやく「HOW」を議論できます。

 

改良された業務フローの設計

ここで、バリューストリームマップを活用します。今のバリューストリームマップは現状のマップです。これに対して、プロジェクトチーム全員で「あるべき理想的な」マップを作成してみます。

これは今までに行ったアウトプットを俯瞰すると自然に浮かび上がってきます。そして現状のマップとあるべきマップを比較してみます。

あるべきマップにシステムを再構築してみると、それが実際にできるかということが問題になるかと思います。製造設備にしても、業務システムにしても変更に莫大な費用が発生する場合もあります。

そこで「実現可能な移行マップ」というものを作成します。そしてそのマップを元に業務プロセスを設計します。これはバリューストリームマップを作ることで対応可能です。

 

新しい業務フローへの移行計画立案書を作成する

次に新しい業務マップに移行するための作業手順をリストアップします。そしてその作業に必要な工程、人員、費用をリストアップします。

 

移行計画を実施する

上までのステップで作成した計画書立案所に沿って、計画を実行します。

計画は実行するだけでなく、常に数値測定を行い必要に応じて修正を加えます。従来はPDCA手法を使ってマネジメントしていましたが、近年ではOODAループというより高速で強力なマネジメント手法もあります。チームにフィットするのでしたらこうった方法も有効です。

 

まとめ

DMAICの4つ目のステップImprove(改良)についてご紹介しました。

 

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DMEIC:ステップ3 Analysys(計測)

DMAICのステップ3 Analysys(分析)についてご紹介します。ここでは、プロセスの中で問題になっている部分が、どこに問題があるのかということを明らかにします。

前のステップで業務フローにひそむVital few Xを見つけ確定したら、次はVital few Xが潜んでいるプロセルの状況を以下のツールを使って分析します。

・工程能力の把握

・相関回帰分析

・サンプル集団と母集団の評価

・検定

・分散分析

基本的には統計的な手法をつかってVital few Xを数値で表現します。ですので、DMAICを自由に使いこなすためには統計に関する知識が必要です。上記のデータを入手すると、数値データに関して「ばらつき」に関する情報が入手できます。次のステップでこの「ばらつき」に対してどうアプローチするかという部分にリーンの手法を適用します。

リーンのムダ排除の導入

トヨタ生産方式では“ムラ、ムリ、ムダ”を徹底的に排除するというアプローチがなされています。その中で最優先で排除する必要があるのが「ムダ」です。リーンでは「ムダ」は英語になっており、更にそのムダの本質も「7つのムダ」として体系化されています。

 

Vital few Xのばらつきを定量的に評価する  ← シックスシグマ

ムダを徹底的に排除する  ← リーン

 

この二つの手法の融合が「リーンシックスシグマ」の本質です。この考えを融合してあぷろーすることができると、非常に大きな成果が得られることが主にアメリカで実証されています。

 

なぜなぜ分析で原因を特定

次に、上のアプローチでムダを排除していくのですが、ムダの根本原因を発見し、根絶しなければ永遠に無駄が発生し続けます。そのために強力なツールがなぜなぜ分析です。これはなぜを5回繰り返し真因にたどり着くという手法です。

特性要因図を使って真因にアプローチする方法もありますが、当社の実績上なぜなぜ分析の方が強力です。

 

問題点記述書をリバイス

 

上記の方法で問題の解決策や再発防止計画を議論できるように問題点記述書をリバイスします。そしてこれを見ながら「HOW(どうやって)」を議論します。これは次のImproveでの重要な作業です。

 

まとめ

DMAICの3つ目ステップAnalyse(分析)についてのご説明しました。

 

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DMAIC :ステップ2 Measurement (計測)

リーンシグマプロジェクトのフレームワーク、DMAICのステップ2Measuremant(測定)についてご説明します。

 

ここで行いたいとは、対象とするプロセスの現在の状態を定量的に把握することです。基本的には数値で指標を評価します。、状況を数値的に把握することです。また、以前にも述べましたが、CTQの評価したい指標をyとします。これに対して入力をxとすると、

y=f(x)

の関係式であることを見出します。この変数xの中でyに最も影響を与える因子x(Vital few x)を見出すことがとても大切なので、状況を数値がする必要がある、というのはVital few xを見出さ中ればならないというDMAICの命題に沿っているからなのです。

ではどうやってVital few xを探すのか?ということについては、以下に示すものを作成します。

 

・プロセスフローダイアグラム

・プロセスマップ

・特性要因マトリックス

・FMEA

・Gage R&R

・プロセス能力算出

・ベンチマーキング

いずれも、統計的な手法を活用しています。ただすべてフレームワークとして開発されているので、そのフォーマットを活用すれば比較的短期間で作り方のコツを身に着けることができいます。

 

これらのフレームワークを作成することで、Vital few xはなんであるのか?ということにアプローチする。とういうことがこのMeasurementステップで行うことです。

 

まとめ

DMAICの第2ステップMeasuremnt(測定)フェーズについてご説明しました。各フレームワークについては、今後紹介記事を作成します。

 

次回は第3ステップAnalysys(解析)についてご紹介します。

 

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DMAIC:ステップ1 Define(定義)

ステップ1  Define (定義)

まずDMAICのステップ1 Define について解説します。Define (定義)はプロジェクト開始時に行います。プロジェクトの内容を定義し、問題を明確化することです。この時、問題提起書、プロジェクト計画書を作成します。

まず、プロジェクトの内容を定義し、明確化します。5W1Hを意識するとよいとよくありますが、気を付けないといけないことは、

「How」はこの段階では考えない

ということです。当社では数多くのプロジェクトを支援してまいりましたが、プロジェクトの全体像を把握し、どこに問題が潜んでいるかを明確にする前に、「How」に注目してしまって対策を講じてしまうことがとても多くあります。経験が豊富な分野ではこれまでの経験で「How」は比較的思いつきやすく、決め打ちで方法を決めてしまうことがままあります。

ですので、事実ベースに基づいて問題点を明確にする作業をまず行うことが成功のための必須事項です。

 

まず5Wから

5Wに着目します。

Why:なぜこのプロジェクトを実行するのか

What:何をやるのか、目的、ゴールはなにか、達成基準はなにか

Who:誰がやるか、プロジェクトリーダー、メンバーは誰か

When:いつから開始するか、いつまでに完了させるか

ということをまずアウトプットして、関係者で事実を共有する、という作業に着手します。

 

プロジェクト定義に必要なインプット

まず対象とするプロジェクトの構築に必要なインプットを用意します。前の記事でご紹介しましたが、

・SIPOC分析

・バリューストリームマップ

・VOC

の3つです。上の二つは前の記事でご紹介しましたが、VOCについても今後の記事に追加しますが、対象としている製品・サービスについて「顧客は何を求めているのか」ということについてアンケート、市場調査、ベンチマーク調査などを行ったうえで、収集するVoice of customer(VOC)です。マーケティング部門を有していればその部門にメンバーに入ってもらいその情報を収集することです。

 

プロジェクト定義に必要なアウトプット

プロジェクトテーマ問題提起書

SIPOC分析、バリューストリームマップを俯瞰すると、抱えている問題の真因がどこに潜んでいるのか?なにを改善すればよいのか?ということをプロジェクトチームで議論します。ここで、明確になった問題はなにか?痛みはどこか?そしてその問題の解決目標を定義します。目標は定量的である必要があります。そしてその問題をいつまでに解決するのかを定義します。

大切にしてほしいのは、この問題定義書をプロジェクトマネージャ一人で抱え込まということです。一人に任せてしまうことが多いのですが、この時、プロジェクト責任者(チャンピオン)、プロジェクトメンバー、本社戦略部門など、このプロジェクトに参画するメンバーで共有して、何回もブラッシュアップする必要があります。

 

VOCからのCTQのドリルダウン

インプットとして収集したVOCからCTQ ( Quality To Customer)を定義します。リーンシックスシグマの重要な定義でも、「顧客が必要としていないもの」に関する事柄はムダである、があります。ここではこのプロジェクトにおいて、もっとも大切な品質とは何か?ということを定義します。

 

プロジェクト計画書

上の二つを作成したうえで、このプロジェクトの計画を立案します。5Wを織り込んで契約書を作成します。計画書のフォーマットはガントチャートが一般的ですが、TOC(制約条件理論)なのではCCPMなどのツールも活用されています。

 

まとめ

DMAICの第一ステップD Define (定義)についてご紹介しました。

次は第二ステップの M Measurement (計測)についてご説明します。

 

 

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『君主論』を読んで【3分でわかるまとめ】

今回は、みなさんが歴史の授業でおそらく習ったであろう、マキャヴェッリの『君主論』について、3分でわかるような読後の感想を書いていこうと思います。マキャヴェッリの君主論での主張は、とても過激というか、興味深いものが多いということはご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、そんなマキャヴェッリの『君主論』で主張と、読後の感想を簡単にご紹介します。普段からお忙しい若手社会人の方や、学生の方でも簡単に読める内容となっていますので、ご覧いただけると幸いです。

それでは、マキャヴェッリ著『君主論』について早速見ていきましょう!

目次

  • 君主論とは
    • 権力を握り続けるためには嫌われることを恐れる暇はない
    • 悪は最初に見せつけて権力を誇示しろ
    • ライオンと狐の使い分けが大切
    • 権力者たるもの恐れられる方が愛されるよりもはるかに安全である
    • 力量によって運命に抗って生きるべし
  • まとめ

 

君主論とは

君主論とは、1532年にマキャヴェッリによって書かれた、政治学に関する著作です。歴史上の様々な君主、および君主国を例に出しながら、時には皮肉的な描写を交えつつ、「君主が権力を保持し続けるためにはどうすれば良いか」ということを示した、現実主義の古典です。

今回は、そのような『君主論』に書かれていた内容の中から、「これだけは押さえておくべき」という内容をシェアしていきたいと思います。

権力を握り続けるためには嫌われることを恐れる暇はない

君主たるもの、一国の権力を保持し続ける為には、人民に嫌われることを恐れる暇はないとマキャヴェッリは指摘します。というのも、一国の主人となった君主は、それほどまでに国のことを考えていなければ権力の維持など到底できっこないからです。

一国の権力者・君主になった暁には、寝る間を惜しんで国のことを考え、いかにして国を理想の状態に近づけるかということを考えなければならないということです。

これは、現代に当てはめて考えると、一企業の経営者に似ているのかなと思いました。というのも、どちらも本質的には「主人」という点で相違ないからです。

そうして本気に自らのビジョンに照らし合わせて、治世のことを思考しているときは、自然と嫌われることを恐れる暇は無くなります。

それぐらい、自らが属する組織体のことを考えろということです。

 

 

悪は最初に見せつけて権力を誇示しろ

こちらも非常に興味深いです。マキャヴェッリによると、「君主たるもの、悪は最初に見せつけて、自らの権力を誇示すべき」だそうです。

ところで、これと似た例で私はある類似例を想起しました。それは、いわゆるヤンキーが真面目に勉強をしていると「善の行動」に見え、逆に普段真面目な人がたまにサボっていると「悪の行動」に見えることです。

総勉強時間でヤンキーと真面目な人を比較すると、圧倒的に真面目な人の方が勉強時間は長いはずです。しかし、普段は勉強をしなさそうな人が勉強をしていると、「あいつは頑張っている」という善のレッテルを貼られ、逆に普段から勉強を頑張っている人がサボってしまうと、「あいつは怠けている」という悪のレッテルを貼られやすくなります。

こうしたことは、普段のその人に対するイメージに起因していると私は思います。つまり、普段から自分自身をどのように見せるかによって、後々の行動に対する人々の評価も変化することを指摘したいのです。

ここで再度マキャヴェッリの主張を引用すると、「君主たるもの、悪は最初に見せつけて、自らの権力を誇示すべき」です。つまり、最初に最低限必要な悪を人々に見せつけることで、人々に対して「恐れるべき人物」という印象を抱かせることが肝要だということです。

先ほどのヤンキーと真面目な人の比較でいうと、君主たるもの最初はヤンキーであれ、ということになりますね(笑)。

ライオンと狐の使い分けが大切

マキャヴェッリによると、君主たるものライオンと狐の使い分けが大切であるそうです。一見するとこの主張、よくわかりませんよね。

しかし、文脈さえ掴んでしまえばこの主張の意味がわかると思います。以下に示すのは、この主張が出てくる文脈です。

ところで戦いに勝つには、二種の方策があることを心得なくてはならない。その一つは法律により、他は力による。前者は、人間ほんらいのものであり、後者は獣のものである。だが多くのばあい、前者だけでは不十分であって、後者の力を借りなければならない。したがって君主は、野獣と人間をたくみに使い分けることが肝心である。・・・どちらか一方がかけていても君位を長くは保ちえない、そう教えているわけだ。そこで君主は、野獣の気性を適切に学ぶ必要があるのだが、このばあい、野獣の中でも、狐とライオンに学ぶようにしなければならない。理由は、ライオンは策略の罠から身を守れないからである。罠を見抜くという意味では、狐でなければならないし、狼どものどぎもを抜くという面では、ライオンでなければならない。

・・・

名君は、信義を守るのが自分にとって不利をまねくとき、あるいは約束したときの動機が、すでになくなったときは、信義を守れるものではないし、守るべきでもない。・・・人間は邪悪なもので、あなたへの約束を忠実に守るものではないから、あなたのもうも他人に信義を守る必要はない。

・・・

国を維持するためには、信義に反したり、慈悲にそむいたり、人間味を失ったり、宗教にそむく行為をも、たびたびやらねばならないことを、あなたは知っていおいてほしい。・・・そして前述のとおり、なるべくならばよいことから離れずに、必要にせまられれば、悪に踏みこんでいくことも心得ておかなければいけない。

ここでマキャヴェッリは、思考と行動のバランスが大事だということを言いたかったのだと思います。何も考えず、ライオンのように本能に任せて行動するだけでは、いずれ仕掛けられた罠に引っかかってしまいます。一方、ひたすら考えるだけで何も行動しないことほど無駄なこともありません。

大切なのは、思考をしながら行動し、行動しながら思考するというサイクルなのだということをマキャヴェッリは示したかったのではないかなと私は思います。

 

 

権力者たるもの恐れられる方が愛されるよりもはるかに安全である

マキャヴェッリによると、君主たるもの恐れられるべきという主張を随所で展開しています。というのも、人間は元来利己主義的な生物であり、自分には不要だと思ったものはいち早く切り捨てる存在であるからだと言います。

そうした場合であっても、なかなか切り捨てることができない存在であるのが、「恐れている存在」であるものであるのです。君主たるもの、愛されているだけでは簡単に民衆に切り捨てられてしまいます。最初に必要悪を出し切り、恐れられてこそ、権力を長く保持し続けることができるとマキャヴェッリは主張します。

力量によって運命に抗って生きるべし

マキャヴェッリによると、人間というものは生まれながらにして運命が決まっているそうです。実に西洋的なものの見方だと思いました。

マキャヴェッリの「力量によって運命に抗って生きるべし」という主張は、君主のみならず全員に通じるものだと思いました。なぜなら、この主張をもう少し噛み砕いて解釈すると、以下のように読み取ることができると思ったからです。

人々は、常に無意識の支配下で行動をしている。しかしながら、それは受動的な行動であって、すなわち『思考停止状態での行動』と言い換えることもできる。よって、意識的に無意識状態を打破するような努力をすることこそ、成功を掴み取るための第一歩である。

こちらで示したのは、私なりのこの主張に対する解釈です。要は、「能動的に行動することが大事」ということを言いたかったのだと思いました。

その根拠に、マキャヴェッリは以下のようなことを本文で述べています。

人は慎重であるよりは、むしろ果断に進む方がよい。なぜなら、運命は女神だから、彼女を征服しようとすれば、打ちのめし、突き飛ばす必要がある。

マキャヴェッリも、「やらずに後悔よりやって後悔」の精神を尊重していたことが伺えます。

 

 

まとめ

いかがでしたか?今回は、マキャヴェッリの『君主論』について、読後の感想をシェアしました。今回の記事の主なポイントは以下の通りです。

  • 君主論とは、1532年にマキャヴェッリによって書かれた、政治学に関する著作である。
  • 上に立つ者は嫌われることを恐れるな。
  • 思考をしながら行動し、行動しながら思考すべし。
  • 君主たるもの恐れられるべし。
  • 慎重であるよりは、むしろ果断に進む方がよい。

何かしら組織のリーダーになる方だけでなく、日頃から頑張って働いていらっしゃる若手社会人の方々、これから就職活動に臨む就活生をはじめ、すべての人々が必読の『君主論』です。

余談ですが、私が『君主論』を読破してから最も心に残っていた教訓は、「嫌われることを恐れるな」ということです。

私自身、どうしても嫌われることを恐れて、勇気を出して意見を主張できなかったりすることがあります。しかし、人は何かに本気になっている時こそ、嫌われることを想起しないのです。

このことから、「嫌われることを恐れている間は、自分自身は物事に対して本気で取り組んでいない」という発見をしました。読書での発見を抽象化して、自分自身の言葉に置き換えるというサイクルをやっていて、本当によかったと思える瞬間です。

『君主論』は、自分が目指す理想のリーダーとはどのような人物か、もう一度考えるきっかけになる著作でした。是非とも皆さんも一読されることをお勧めします!